ぼくは今道を探してる
夜、カーラジオから流れるSCHOOL OF LOCKに耳を傾けながら家路につく。
部屋の扉を開け、落ち着く間もなく着替えを済ませ、また扉の外へと舞い戻る。
風はなく、意外に蒸し暑い。
ウォークマンから垂らしたイヤホンを耳に押し入れ、nano.RIPEでも聴きながらと思ったのだが。
存外、ガサガサとノイズが入って落ち着かない。
結局外したイヤホンをウォークマンにくるくると巻きつけ、また脚を前へ送り出す作業を再開する。
久しぶりに感じる夜の川の匂いと、少しの息苦しさ。
すれ違う似たような格好の人達に、なんだかほっとする。
結局思い描いていた半分も行かないところで折り返した。
こんなんでよくシティマラソン出たいとかぬかしてたな。
過去の自分は随分とアホのようだ。ただ、今もそう変わらない。
途中歩いたりもも上げをしながら来た道を戻る。
一人、静かな一本道を歩くのはなんとも気持ちがいい。
あとこれは最近気づいたのだが、苦しい状況に自ら身を投じていくのがどうも嫌いじゃないらしい。
ランニングってやつは、それにぴったりみたいだ。
はじまりはふとした瞬間に
前々から思っていた。自分は言葉を伝えるのが苦手だと。
いつも、とぎれとぎれになる。言葉が、つながって出てこない。
毎日たくさん話すことが良いトレーニングになるのだろうが、自分の中にある言葉と一人で向き合う時間も必要だと思った。
だから、今日から日記を書き始める。
現在24歳、今年で25歳になる。
なにを今更という感じだが、今から始めないと遅れを取るばかりだ。
そんな焦りのようなものを抱えながら、とりあえずの一歩を踏み出した。
書きたいテーマなんて決まっていない。ただ毎日何かしらの言葉は残そうと思う。
一単語だっていい。その日その日の情景、出来事、確かにそこに存在したものを記していく。
思いつきでいい。大それた準備なんかいらない。きっと何を始めるにもそれは共通している。
校正も、多分ほとんどしない。頭に浮かんだものをそのまま吐き出す練習だ。
それを恐れていた今までの自分とサヨナラできるように。
いつか、自分だけの言葉を持っている人間になれるように。
まずはここから。
いつもどおりの平日が終わる、真夜中のアパートから。